近年、メタバースなど実世界とサイバー空間の連携が進み、利用情報の管理が実世界のモノの管理からサイバー空間のみの管理へ急速に移行している。
そのためサイバー空間サービスの“利用者の死亡“に伴う利用者不明状態による利用情報の喪失が大きな問題となっている。
この問題を解決するには、利用者の死亡時に利用情報を相続人へ確実に引き継ぐことが必要不可欠である。
我々はこの解決策として、秘密分散法により利用情報をシェアに分割して各相続人に配布し管理することで、相続人全員の総意の下で利用情報を復元できる“利用情報の相続機構“を提案している。
本機構により利用者は安全・確実に利用情報を相続人に引き継ぐことができる。
但し、利用者不明状態を解消するためには、引き継がれた利用情報に基づき相続人が実際の相続手続きを実行しなければならない。
今年度は、これらの問題について研究し成果を学会の研究会で発表した。
具体的には
①相続した利用情報を基に相続手続きを行う際の現状と課題を整理し、その解決に向けた指針を与えた。
特に②金融サービス以外のサービス事業者が利用者の死亡時の相続手続きを定める必要性と、
③その手続きが金融サービスに比べて簡素化できることを明らかにした。
今後は、持続可能なサイバー空間と実空間の連携の実現へ向けて、サイバー空間のサービス事業者の規約の整備が望まれる。
*学会発表
樋地正浩, 橋祐一, 菊池一彦, 藤田茂, 白鳥則郎, “個人のサイバー空間利用情報の相続の社会実装に向けた検討”2022年度 情報処理学会:東北支部研究会, 2023年1月